福岡高等裁判所 昭和25年(う)965号 判決 1950年11月18日
被告人
安千徳
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人岩成自助の控訴趣旨第一点事実誤認について。
なるほど原判決挙示の証拠によつては、被告人がその亡夫李龍基と共謀して本件を犯したことを認むることは到底出来ないので、原判決が共謀を認めたのは、失当ではあるが、然し原判決挙示の証拠によれば被告人が昭和二十四年七月二十三日頃肩書居宅附近に於て、米麹一斗三升、玉蜀黍粉を蒸したもの九升、小麦を炊いたもの五升並に水二斗を原料として、容器に仕込み、醗酵させて、焼酎の原料醪四斗を製造したことを認め得るので、唯単独で製造したか、夫と共謀して製造したかの差がある丈で、その犯罪上の責任に於て差はないのであるから、前叙の事実誤認は、原判決に影響を及ぼさない故、結局此の論旨は採用することが出来ない。